団結!義務!宿命!


by maxhorn
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第9話

 一つ目で銀色の体のその女が発する衝撃波は、辺りの砂や草木を吹き飛ばし、3人のトーアを翻弄していた。
 「くそっ!近づけねえぞ!」
ソーラが接近を試みるが、あえなく跳ね返された。
 「いいわ。2人は奴の気をそらして!」
ハイナが指示を出す。
 「気をそらせ!?どーやって!」
ベレンが反応する。
 「自分で考えなさいよ!」
そう言ってる間に3人共、謎の女が放つ衝撃波に吹き飛ばされた。だがハイナは砂埃が舞ってる間に隙をみて海に飛び込んだ。
 「何も見えねぇ!」
ソーラが砂埃を掃いながら言う。ベレンは目を細くして辺りに注意を払う。
 「見えた!」
ベレンの叫びに対して
 「何ぃ⁉」
とソーラ。
 「女と目が合ってる!今だ!」
ベレンはバックパックのフレイムジェットを起動して、銀の女目掛けて飛んでいった。女は不意を突かれ、ベレンの拳が自分の顔面にぶつかるのを感じ、その衝撃で倒れた。
 「捕まえたぞ!」
ベレンは女に馬乗りになり、首を押さえている。遅れをとったソーラは、その様子を傍観していた。
 「あの砂埃の中、よく見切れたな…。」
そこでソーラはある事に気付く。
  「ハイナは⁉」



 ハイナは海に潜っていた。水のトーアだ、当たり前かもしれないが、水中で息はかなり長く続く。始めは銀の女の背後に回ろうとしたのだった。なのになぜ、見知らぬ小型潜水艦に、マニピュレーターで捕獲されているのだろう、とハイナは不思議に思った。よく見ると潜水艦のコクピットには、一昨日要塞監獄から逃げ出した囚人がいる。
「何が目的なの!」
マトランに問いかける。聞こえているのかどうかは分からないが。
「妙に眩い光が見えたと思ってここまで来てみたら、まさか3代目トーアをお目にかかるとはな。」
カッチュはハイナをこのまま締め上げて艦内に監禁し、任務完了後に主に手土産でもと思っていた。しかし、そう簡単にはいかなそうだ。
「水の気を操る事くらい!」
ハイナは両手を目の前に添え、渦巻を発生させた。
「ぬわっ」
渦巻は潜水艦のコクピットの大きなガラスにぶち当たり、ヒビを入れた。
「やった!」
「おのれっ!」
カッチュはハイナを振り回したのち、遠くに投げ飛ばした。しかしハイナは動じる事なくそれに対処する。
「はっ!」
海中に壁が存在するかのように水を蹴り、潜水艦に接近し、再び渦巻を潜水艦にぶつける。今度のは特大だ。
「まずい!」
遂にコクピットのガラスが割れ、海水が侵入してきたのを機に、その割れ目からカッチュは自ら水中に飛び出し、もの凄い速さで身をくらます。
「どこ⁉」
ハイナは仄暗い海中を見回すが、どこにもカッチュの姿は無い。
「やあお姉さん。」
突然背後からブレードが現れ、ハイナの喉元に突き付けられる。
「いつの間に!」
ハイナはカッチュに捕らえられたまま、海面へと誘われた。



 砂浜ではベレンと銀の女が取っ組みあっていた。相変わらずベレンは相手の首を締めている。
 「どうにかせな!」
ギアが声を上げる。ギア、ロック、コワックもやっと合流したらしい。3人共ボロボロだ。
 「今手を出せばベレンも巻き添えになる。」
ロックが冷静に返す。
 「どうにかして女を後ろから押さえるしかないわ!」
ギアが介入しようとしたその時、カッチュとハイナが水中から上がってきた。カッチュは声を上げて笑った。
 「はははは!そうか、6人揃っていたか!」
そしてハイナが叫ぶ。
 「助けて!」
ソーラはすぐに反応し、バックパックの左右にに取り付けられているマシンガンで、カッチュを狙い撃ちした。しかしカッチュはハイナを放してそれをよけ、再び水中に潜った。
 「よけやがった!」
ソーラが叫ぶと
 「危ないわよ!」
とハイナ。
 「どこ行きやがった!」
ベレンと銀の女をよそに、他のトーアはカッチュを目で探す。
 「未熟すぎる!」
カッチュは突然海から飛び出し、ソーラの顔を蹴り、ベレンと銀の女目掛けて走る。
 「させへんで!」
ギアが大地のパワーで陸を振動させたが、カッチュはやすやすとそれをやり過ごし、ロックとコワックの間を抜けて、ベレンと銀の女に突進する。
 「!」
ベレンは接近してくるカッチュの方に顔を向ける。その隙を銀の女は見逃さなかった。
 「何!」
ベレンはまたも銀の女に波動攻撃で飛ばされた。たがそのおかげで、ベレンはカッチュをよける事ができた。
 「ちっ。」
カッチュは態勢を立て直そうとした。その時、銀の女の姿を見て、またも声を上げて笑う。
 「はははは!主がおっしゃった物にまでここで会うとはな!」
6人のトーアも態勢を立て直しながら、その様子をうかがう。
 「もしやカッチュ卿か?」
初めて銀の女が声を発した。誰も聞いた事がないような、透き通った声だった。
 「その声、まさしく本物だ。そしてその通り、俺がカッチュ卿だ!」
声を高らかに、6人のトーアに向けて言っているようにも聞こえる。
 「手間が省けた。」
銀の女はそう言うと、バックパックを出現させた。銀の翼付きのジェットパックだ。
 「捕まりなさい。」
銀の女はカッチュの手を握った。そこでベレンが叫ぶ。
 「待て!お前、そこの女、名前を言え!」
銀の女がベレンを振り返る。
 「相手にするな、任務がある。」
カッチュの言葉を無視し、銀の女は声を発した。
 「ローレライだ。そう呼びなさい。」
カッチュはフンと鼻を鳴らした。
 「ローレライ、逃がさないぞ。俺達が必ずお前らを捕まえる!」
ベレンが睨みをきかせながら叫ぶ。それに同調し5人のトーアも睨みつけている。
 「我々はこれから暗黒大陸へと向かう。"死が生きる場所"だ。そなた達はどうする?」
心なしか、ローレライが、笑みを浮かべた気がする。
 「ちょうど良い、俺達もそこに用がある!」
カッチュが声を上げて笑い、ローレライは上空に顔を向け、ジェットパックを噴射させた。一瞬で空高く舞い上がり、無人島を後にした。
 「俺達も行くぞ!」
ベレンが声を上げる。
 「あかん、フェリーで借りたモーターボートは大破しとる!」
ギアが言う。
 「暗黒大陸はすぐそこだ!飛べる奴が3人を抱えてペアになって行く!」
全員が同意し、ベレンとギア、ソーラとコワック、ハイナとロックのペアに分かれて飛んだ。



 「いい?ファグラッチェの国王は、残り5日で死ぬわ!私達も大陸に着いた瞬間から7日目がタイムリミットよ!」
飛行中、ハイナが言う。
 「わかってるさ!暗黒草を手に入れ、国王を救う!そして奴らを倒す!」
ベレンが言い張る。
 「それも良いがな、リーダー殿。国王が暗黒病に感染した経緯も探らなきゃならねぇ。」
コワックが言う。
 「やる事ありすぎやねん!」
とギア。
 「これもトーアの運命だ。」
ロックが言った言葉で全員が改めて実感した。自分はトーアなのだと。



第9話 完
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by maxhorn | 2013-03-02 00:49 | 旧ストーリー