団結!義務!宿命!


by maxhorn
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

<   2009年 10月 ( 1 )   > この月の画像一覧

第1話


 ニークル国の首都。トーア聖堂の本堂に集った選ばれし6人のマトラン。彼らを待っていたのは火のツラガ、『オパルド』だった。
 「おぬしら、皆トーアストーンは持っておろうな?」
オパルドが尋ねた。すると6人は懐からそれぞれの属性の色を施された石を出した。6人はお互いの石をチラリと見て交わす。
 「うむ。よろしい。2代目世界トーアの急死でレパルド大陸評議会は不意を突かれてのぉ。手荒で簡易な判断ではあったとは思うが、君たち6人が3代目世界トーアに選ばれたわけじゃ。」
水の国代表ハイナはこの台詞に眉をひそめた。「簡易な判断」という言葉が気に食わなかったらしい。
 「今からおぬしらをトーアの体にする儀式をする。各々、そこの機械にトーアストーンをはめるのじゃ。」
6人は円形の機械に歩み寄った。円の縁に沿って6つのあながある。おそらくそこに石をはめるのだ。
 「もう、良いのか?」
コワックが言う。オパルドはこくりと頷き、6人の行動を試すかのように観察していた。べレンは首を傾げながら石をはめた。それに習い、他の5人も穴にはめた。カチッという音と共に、石は半透明に輝きだした。そして石から漏れた光がそれぞれ6人の周りを包みだした。
 「な、なんだ!?」
べレンは光を追い払おうと手足をばたつかせていた。そしてべレンは、自分の体がどんどんと肥大化するのを感じた。他のみんなの方に目を移すと、やはり体が大きくなり始めていた。次第に光は輝きを増し始め、ごおおおおおおおおおという轟音もさらに増した。その轟音に紛れて、ツラガ・オパルドの声がした。
 「良いか!!今から自分の体を創造するのだ!!」
その単純で意味不明な言葉を、なぜか理解できた。べレンは、ジェット機のように速く空を駆ける自分を想像していた。大空を駆け抜けるその姿はまさしくトーアだ。その先には何かがある。町が、国が、星が燃えている。何もかもが炎に包まれている。気がつけば、自分の体も燃えている。死にたくない。せっかくトーアになったのに。嫌だ。嫌だ!!
 「嫌だーーーーーーーーーー!!」
べレンは聖堂で叫んでいた。いつの間にか石から湧き出ていた光は消え、自分は地面でのた打ち回っているのに気がついた。
 「おい、アンタっ。」
べレンは4本の腕を見た。真っ黒の体だ。
 「あ・・・あんたは?」
べレンは起きながら言った。
 「大地の国から来た。ギアや。今さっきまでマトランやったし、見分けつかんと思うがな。」
ギアは4本腕のがたいの良いトーアになっていた。
 「アンタぁ、何叫んどったんや?」
べレンは顔を赤らめた。
 「なんでもない。」
 「せやったらえぇねんけど。」
べレンは今やっと気づいた。自分もトーアになったいる。しかも背中に何かを背負っている。
 「いかしたバックパックやな。」
ギアにそう言われてわかった。ジェットパックを想像していたのは自分ではないか。想像した通りの姿だ。
 「あぁ、ありがと。あんたのは何だ?」
 「わいのか?4本腕を想像したらこの様や。とてもトーアには見えへん…。」
ギアは残念そうにしている。べレンは哀れに思い、こう言った。
 「そんな事ない。いかしてるさ。」
ギアは照れくさそうに礼を言った。
 「おおきに。」
 「俺の名はべレンだ。見ての通り火の国から来た。」
べレンは右手を差し出した。ギアはそれに応えて握手した。
 「これからよろしゅうな。」
 「あぁ。よろしく頼む。」
2人は他の4人を見た。皆自分の体を見回している。氷のトーアコワックの背中からは2匹の白い竜の頭が飛び出ていた。大気のトーアソーラは天使のような翼を閉じたり広げたりを繰り返している。岩石のトーアロックは、べレンには理解できない格好で瞑想している。水のトーアハイナは何を血迷ったか尻尾を生やしてしまったらしい。
 「皆、聞くのじゃ。」
ツラガ・オパルドの呼びかけに全員が振り向き、円形の機械とツラガを囲むようにして集まった。
d0124271_1546394.jpg

 「火のべレン、水のハイナ、大気のソーラ、岩石のロック、大地のギア、氷のコワック。おぬしら6人は、これから世界トーアとして勤めてもらう。それぞれの故郷だけでなく、他の国、惑星全体を守ってもらう。」
全員が頷き、共感した。
 「これからはこの寺院がおぬしらの家じゃ。そして国からの呼びかけに応じるのじゃ。何か質問は?」
ハイナが手を挙げた。
 「水のトーア、なんじゃ?」
 「2代目トーアについて、教えてください。彼らはなぜ死んだのです?」
オパルドはため息をついた。
 「死因は未だ不明じゃ。評議会もわしも、全力を尽くしているのだが。じゃから、おぬしらに頼みたい。世界トーアの仕事に平行して、わしからの任務を受けてくれんか。2代目トーアの死因を明らかにするのじゃ。」
全員が静まり返った。確かに、それが妥当な判断だ。
 「わかりましたツラガ。」
ハイナが他の5人を見回してから言った。
 「既にいくつかの情報が集まっている。わしが密かに結成したオーダーじゃ。」
 「オーダー?」
べレンが口を開いた。
 「おぉ。噂をすれば。」
ツラガが見る先には平均より一回り大きいと思われるマトランが立っていた。緑色の体で。右手はおそらく義手。茶色いマントを羽織っている。
 「ツラガ。ただいま戻りました。」
d0124271_16101952.jpg

 「うむ、ご苦労じゃったロイ団長。」
団長と呼ばれたその男『ロイ』は、ツラガの前に跪き、話続けた。
 「奴はまだ口を割ってはいないようです。」
 「そうか…。」
べレンが思わず口を開いた。
 「ツラガ、教えてください。オーダーとは何です?」
ツラガ・オパルドは本堂から出ようとするロイ団長を制した後こう言った。
 「うむ。2代目トーアの死を不信に思ったわしが、真相を明かすべく結成した騎士団じゃ。」
ロイは得意そうに頷いた。
 「騎士団の正式名や団員を明かす事はまだ出来んが、」
またもやハイナが眉をひそめた。
 「彼だけは紹介しておいた方が良いでな。団長のロイじゃ。」
オパルドはロイを手で示した。ロイはトーア達を見回した。
 「私はマトランだが、君達と同じ地位にある。くれぐれもうぬぼれるな。」
ロイは義手の人差し指を立てて言った。ハイナの眉間がシワだらけになった。ソーラはフンッと鼻息を鳴らした。トーアが6人ともイラッと感じた。唯一、ココに着てからずっと無表情であったロックですら口元をヒクヒクさせていた。
 「まぁ末永くよろしく。」
ロイがマントを翻して本堂を後にした。ツラガはため息をついた。
 「実力は確かな男じゃが…。あの性格がたまに傷じゃのぉ。」
ツラガが恐る恐るトーア達を見上げた。皆イラつきを隠せない様子だ。
 「あぁ。末永くよろしくだ。」
べレンは吐き捨てるように言った。
 「ツラガ、さっきロイさんが話していた『奴』とは誰のことです?」
ハイナは小声で悪態をついているべレンを無視してツラガに聞いた。
 「…。騎士団が、2代目の死に関わったと睨んでいる男なのじゃが、まだおぬしらには詳細は伝えられん。もう少し待ってくれんか。」
ハイナは眉間をシワだらけにして反論した。
 「どうして私たちには教えてくれないのです!?ロイ団長も言った通り、私たちと団長は同じ地位にあるならば、私たちにも同じ情報が回ってきても良いはずでは!?」
コワックは唸っていた。
 「まだじゃ!!おぬしらはまだ何も知らん方が良い!!下手に情報を伝えると無茶をしたり、誰かがそれを外部に漏らすやもしれん!!」
本堂が静まり返る程大きな声だった。
 「わ…わかりました。」
ハイナは不意を突かれたようだった。了解せざるをえなかった。
 「世界トーアとしての仕事を承諾するのは明後日からじゃ。それまでは各々の国の親衛隊や自衛軍を頼ってもらう事にしよう。」
全員がそれを承諾した。べレンはとにかく眠りたかった。色々あって疲れたのだ。
 「さぁ、皆自分のオフィスに行くのじゃ。マトランたちが案内しようぞ。ゆっくり眠りたまえ。」
ツラガが指を鳴らすと、本堂の扉がバーンと開いてマトランたちが入ってきた。
 「彼らについて行け。おやすみ。」
べレンは目の前に現れた1人のマトランについて行った。本堂を出て右側の階段に連れられて上った。他のトーアは別の階段を上るようだ。広い踊り場を何度か通り過ぎ、樫の扉の前に来た。
 「ここがあなたのオフィスです、トーア殿。」
 「あ、ありがとう。」
中に入ると、本堂並みに広い部屋があった。取りあえず寝室に入り、やわらかいベッドに入った。
 「…ジェットパック…邪魔だな。」



 真っ暗な暗闇。普通のマトランなら見えるものは暗黒の世界だけだ。しかし俺には見える。暗視ゴーグルを付けて檻の外を徘徊する警備員、新しくやって来た囚人、死刑台に連れられる囚人。俺もこの檻に入ってそんなに長くはないが、既にこの建物の構造も欠点も全て知り尽くした。あとは仲間が行動するのを待つのみだ。さぁ、俺は準備万端だ。お前さえ動いてくれれば、この豚小屋ともおさらばだ。
d0124271_14322495.jpg


第1話 完
[PR]
by maxhorn | 2009-10-16 16:10 | 旧ストーリー